聴かずに死ねるか2009秋篇
Mum - I'm 9 Today
Metronomy - Radio Ladio
サンシャイン・クリーニング
とってもとってもおもしろかったあの『リトル・ミス・サンシャイン』の製作チーム再び集結だとかで、こりゃあ観たいと思っておりました。まあでも監督は違うんですけどもね。それにね先日機内で観れそうな機会があったのに英語のみだったので悔しかったのです。
空気感はいいし設定もおもしろいんだけど、いかんせん筋書きと構成が今ひとつ物足りなかった。特に結末はあまりにあんまりだ。献血センターの人とか投げっぱなしだし、母娘の謎解きなんかももうちょっと何かできたんじゃないかという惜しい感じ。うーん、これは期待しすぎたせいなんだろうか。
ノラという名前の役は大体ああいうはすっぱ感じになっている気がするのですが、じゃあ他にどんな映画でそういうのがあったかと言われるとまったく思い出せません。なので気のせいかもしれないのですが、そうじゃない気もします。しかしざっくりいえば、あれは私の理想の伯母像だなと思います。「ねえ今日バスタードって言われたけどどういうこと?」「それはね私生児って意味よ。イカスのよ。将来バスタードっていうバンドを組むといいわ。」のくだりは好き。(超うろ覚え再現だけど大体あってるはず)
ちなみにこの後はしごして『サガン−悲しみよ こんにちは−』を観に行こうと思ってたのに、既に公開終わっていて一歩間に合わず…もやもや感が増してしまったってのもよくなかったね。
それでも恋するバルセロナ
「そんな彼なら捨てちゃえば?」とか言いそうな人が言いそうなタイトル。たぶん同一人物です。スカーレット・ヨハンソンがどっちも出てるってことくらいで、別にアンサー的な意味はないですけどね、一応。いや観てないから知らないけども。ちなみに略称は「カレステ」と「ソレコイ」。たぶんな。
そういやスカーレット・ヨハンソンのことばかりをベラベラ喋っているウッディ・アレンを王様のブランチでたまたま見かけました。スカーレット・ヨハンソンのウッディ映画出演は日本公開作でいえば実に連続3作目ですかね?よほどお気に入りのご様子。なんだけどその割にはいつも役柄はさほど良くない。この人は基本的にはあんぽんたんな役が一番ハマると思ってるのだろう。そこは同感なんだけど印象には残らないんだよなあ。印象に残るのは断然ペネロペ・クルスの狂演。見事です。
ウッディさんも年をとって萎んだフリなんかしてないで、そろそろ出てきてほしいなあと思ったりもします。シャレオツなだけの映画はそろそろ終わりにして、もうひと馬鹿パッと咲かせてほしいなって期待したりなんかしております。とはいえスパニッシュ・ギターにただただ酔いしれるだけの映画もいいもんですね。
Hannah Montana: The Movie
えー先日ちょっと長めにフライトをする機会がありまして、せっかくなので映画を一本くらい観ようと思いました。で、小難しいのや重たいのやらはめんどくさいので、日本語吹替えありでぼけっと観れそうなのをということで選んだのがこちら。機内映画ってわりと国内未公開のものとか封切したてのものとかやってたりするんですが、こちらは何と日本では来年公開(どの国より遅いそうだ)とかで、結果なかなかいいチョイスをしたなという自慢ですよ、ええ。
こちらディズニーのミュージカル映画で、帰ってから調べたところによるとテレビドラマの映画版だとか。こちらでもテレ東で『シークレットアイドル ハンナ・モンタナ』として放送されていたようです。まあそんなことは別に知ってても知らなくてもどうでもいいことなんで、ズラ被って金髪になっただけで何で周りが誰も気づかないアイドルになれんねん!とかそんなツッコミも当然どうでもいいわけです。だってファンタジーですからね。
おもしろかったです。ちゃんと宣伝したらそこそこヒットするんじゃないでしょうか(あっでもテレ東か。じゃあポケモンと2本立てとかしたら当たるな)、歌も普通によかったですし。でも「さあ次はヒップホップ行くわよ」って歌いだした曲がどう考えても私にはヒップホップには思えませんでした。あれってヒップホップなの?ねえ!と来年誰かに聞くことを来年になったら思い出そうと思います。
愛おしき隣人
先日、何となくジャケ借りしたのがこの『愛おしき隣人』。だったんですが、いやはやびっくりしましたよ。すげえ!なんだこりゃと思った私は翌週返しに行ったその足で、すぐさま『散歩する惑星』と『スウェディッシュ・ラブストーリー』を借たわけですよ。こんなことって久しぶりです。
すげえ!すげーよロイ・アンダーソン。
聞いたこともなかったし、全く知らなかったです。監督の名前も作品名も。
ワンカット・ワンシーンの連続で唐突なカメラ目線とカメラへ向けての語り。唐突にBGMを歌いだしたり、演奏しだしたりもする。反則?いえいえ大いにありです。大好物です
日常を生きる人たちのかなり情けない部分を抜き出して、絶望感に浸ったりもするけれど、でも明日はあるからね。幸せはそう長くは続かないかもしれないけれど、怒りも悲しみも意外と長続きはしないものだな、と思ったりもするのです。情けない部分を抜き出したといったけれども、日常の9割がたは大抵情けない姿なのかもしれません。
そういや謳い文句が、この作品では”コーエン兄弟のユーモア、ミシェルゴンドリーの映像を凌ぐ!”。前作の『散歩する惑星』は”ジャック・タチmeetsキューブリック”なんてのがあったりなんかして、やたら色んな名前を出されてるのが可笑しい。
わからなくもないけど、でもそれだったら”ロバート・アルトマンと並ぶ新たな群像劇の巨匠がここに誕生!”の方が近い気がする。そしてカウリスマキっぽくもあるな。負け犬描かせたらカウリスマキかロイ・アンダーソンとかね。北欧の映画ってのは負け犬をクローズアップするのがセオリーなのでしょうか。
ウルトラミラクルラブストーリー
『ジャーマン+雨』が度肝を抜かれるオモシロさだったので、そんな横浜聡子監督の新作(劇映画としては実質デビュー作?)は、ものすごーく期待感を持ちました。
でも宣材写真を観る限り、何だか随分普通のものを作ったんだなあという印象。
と思いきや、全然普通じゃなかったよ、これ。
画的にB級感が薄まっただけで、内容的には(いい意味で)とんでもなくB級です。
何だかよくわからないものを作ればいいというわけではないということを自主制作、あるいは自主制作あがりの作品にはよく感じるんですが、前作も今回のこれもそういうのは軽く越えてしまっています。
なんで?とかいうのはどうでもよくて、笑っていいのかわかんないけど笑っちゃう。笑ってたけど泣いちゃう。で、そういうことをそれでいいんだよな、実際そういうもんだよなと思わせる力が確かにあるわけです。
意図的になのか、どう書くのが正しいか難しいからなのか、丹念にネタバレしないようなあらすじになっています。それだけだとあまりソソられないのも確かですが、度肝抜かれますよ、ほんとに。
本当に面白いからネタバレできないので、どう面白かったのかも説明しにくいのですが、いやあ変な映画でした。もちろんいい意味で。